「自分の経営権」を取り戻す | 不問日報-号外

2012年8月15日水曜日

「自分の経営権」を取り戻す

at WILDMAGIC


自分という人間の経営権を放棄していないか?


これは、このエントリーで提起したい問いです。
特に会社で仕事をしている場合、会社の目標や企業理念は意識していても、そもそも自分自身の目標や理念が意識できていない、ということはないでしょうか。私は正直なところ、ありました。

「20代のうちは、より好みせずに目の前の仕事をやっていく。」

自分なりにそんな戦略らしきものを掲げてはたらいていたものの、いつの間にか盲目的に仕事をしているだけの自分がいたのです。





お客様満足は四流の仕事


大学を卒業し、就職してから7年ちょっと。私はここ2〜3年、以下のような状況に悶々とする日々が続きました。

  • 当然のように掲げられる「お客様満足」に違和感をおぼえる
  • 疲弊する同僚たちの姿、ひいては自分自身の姿を日常的に見る
  • 頑張るほど、自分の中で何かが空回りしている

もはやどこで目にしたか記憶が定かではありませんが、

「お客様満足だけ達成するのは四流の仕事」

といった意味の記事を見かけました。

仕事を取り巻く関係者はお客様だけではなく、上司や仲間、家族、そして自分も含まれるというものでした。考えみれば当然です。組織ではたらく以上、上司を満足させなければなりませんし、共にはたらく仲間にも配慮する必要があります。それに自分を支えてくれている家族や、そもそも自分自身の満足も考えねばなりません。

一流の仕事とは、お客様のみならず上司、仲間、家族、自分自身をも含めて満足のいく結果を残さなければならない、そんな主旨の内容がひどく心に残りました。



「自分株式会社」に立ち返る


ただお客様満足を達成するだけでは一流の仕事とは言えない、その考え方に触れてから、「お客様ー会社」という見方よりも、「関係者ー自分自身」という見方に意識が向き始めました。

向き始めたというよりは、戻ったという方が合っています。以前にも考えていたはずが、いつの間にか自分自身を置き去りにして、会社という組織の単位で物事を考えるのが普通になっていたのです。チームリーダーやディレクターという立場が長かったため、人に動いてもらわないことには仕事が進まない、という状況が大きかったと思います。

その頃から
  • 「自分株式会社」
  • 「組織内自営業者」
  • 「会社内フリーランス」
というような造語を考えて、意識を少し変えていきました。自分が関わる人はみなお客様、そう考えると背筋が伸びるのを感じました。


ここから、自分の中での空回りは少しずつなくなっていきました。
思えば、自分自身が何をやりたいのか、できるのか、すべきなのか、日々の仕事の中で考えることを忘れ去ってしまっていたのです。自分自身の経営権を放棄していた、そう感じました。



会社の企業理念以前に自分の企業理念


社員が増えてくると、会社としての意思統一のために企業理念をつくることがあります。「クレド」で有名なホテルもありますね。私の会社にもありましたし、つくることにも関わりました。理念は判断に迷ったときや、壁に直面したとき、立ち返ったり、根拠にしたりするときによりどころとなります。

はて、企業理念なるものはあるし、唱和なんかもしちゃったりなんかして、でも何か虚しい。そんな気持ちになることがありました。

あ、企業理念以前に自分の理念がはっきりしてないんだ。

これも「自分株式会社」的な考えの中で、根本的な課題として浮上した気づきです。多分、ぼんやりと意識しているものの、はっきりとはできていないのです。



自分のブランドコンセプトをつくる


ここ数年で、自分の中ではさまざまな紆余曲折がありましたが、上記のような思考が確信になるなかで「自分をつくる学校」というユニークな学校に出会い、1期生として通いました。


学校では、各自が自分のブランドコンセプトをつくり、効果的にプロモーションしていく、というのが主な内容です。特にブランドコンセプトは、自分自身の棚卸や内省、掘り起こしが必要になるため、私はかなりうなりました。

思えば、30年生きてきて、かなり悩みこんだのが浪人を決意したとき。12年前です。その時もかなり内省することになりましたが、結果的には自分が納得できる進路に進むことができました。

「孤独は最大の教師」、18歳当時に出会ったこの言葉は、今回の自分を見直す機会にも度々思い出しました。



会社や組織に求められる仕事をしていくことは、ある意味で簡単です。与えられた仕事をやればいい。ただ、そこに自分の信条や納得はあるのか。それは自分自身に聞いてみる以外に分かりえません。

慌ただしい日常において、一人で自分自身と対話する時間をどれだけとれるか?
これは今後も意識していきたいことです。




「まずは自分自身を振り返り、自分を変えることから始めよう。」
(学校で紹介していただいたMichael Jackson "Man In The Mirror"より)