今日、資産をつくる仕事をどれだけしたか?『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』を読んで | 不問日報-号外

2012年6月24日日曜日

今日、資産をつくる仕事をどれだけしたか?『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』を読んで


今年から、「基礎体力としての教養」をテーマにした私塾で学んでいます。その中で「良い本には、良い問いが含まれている」というお話があり、その中で触れらたのが本書『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』でした。何これ、今の自分の気持ちを代弁しているじゃないか!ビビッ!ときてしまいましたが、みなさんはいかがでしょうか? 



資産をつくる仕事を、今日はどれだけやったか?
私が本書で一番印象に残ったのはこの問いでした。
「資産」というと株や不動産といった金融資産をイメージされるかもしれませんが、この場合は人的資産や労働資産のようなイメージです。例えば、ある仕事をするのに、毎回100%の力をフルに出して達成するのではなく、20%くらいの力で達成できるようになる、そのための「資産」をつくることができたか?そのような意味合いです。つまり仕事の80%は、これまでの積み上げである資産で楽々完成させることができているか?そこを意識しよう、というものです。


イラストや図解が豊富で理解しやすい

著者の方が作家という仕事を選択されているのも、「労働力の積み上げができるから」と書かれています。

たとえば、今日新しく「原稿を速く書く方法」を学んだとします。このノウハウは、おそらく自分が作家業をやめるまで使える「資産」になるでしょう。新しい漢字をひとつ覚えたとしたら、それも死ぬまで使えます。(P.268より)

この資産が簡単に習得できず、習得に時間がかかるものほど、労働資産としての価値は上がっていきます。

さて、このような考え方で、日々仕事ができているでしょうか?



経験値と実績を意識できているか?
私はWeb制作会社で7年ちょっと働いてきました。その大半はWebディレクション、プロデュースというところでしたが、そこでよく意識していたのは「経験値」と「実績」でした。これが本書でいう「資産」に相当すると思います。

労働時間が長い傾向にある業界で、仕事が次から次へ来る状況の中、終電で帰ったり、泊まりこんだり、土日出勤したり、そんなことは日常茶飯事でした。正直しんどいと思うことはよくありましたが、そこで踏ん張れたのは「経験値」と「実績」に対する意識です。

  • この経験からはこんな能力が身につく(はずだ)
  • これをやりきれば自分の能力を実証する実績になる(はずだ)

これが支えでした。

Webディレクション、プロデュースでは幅広い業務を要求されるため、学ぶことがあまりにも大量にありました。提案書の作成やお金の見積、リスクの洗い出し、体制や収支の計画、対外折衝と社内調整、品質管理、納品、請求、振り返り…自分のチームがあった時期もありますので、チームのマネジメントや評価などなど…やればやるほど、あれもできていない、これもできていない、と反省の日々です。

上記のような経験は、恐らくどのような業界・業種に行っても応用しうる経験(資産)だと思っていましたので、しんどくても何とか意義を見出して、前向きにとらえていました。



仕事から資産をつくるためには?
この資産をつくるためには、仕事における「意味づけ」と「振り返り」が必要だと思います。本書では資産のつくり方まで事細かに書かれていません。そこはきっと著者の方の「ここから先は考えてみてね☆」というメッセージなんじゃないか、と私は勝手に思っています。(良い問いは、読み手が考えて、行動を起こすためのきっかけをくれますね)

  • 仕事を始めるときに「意味づけ」をする
  • 仕事を終えたときに「振り返り」をする

「意味づけ」は、仕事を始めるときに考えます。仮説でも構わないので自分なりにその仕事の意味や意義を考えてみると、仕事に取り組む姿勢が変わります。今回の「資産をつくる」という観点で言えば、「この仕事から自分は何を得られるだろう?」と問いかけてみるのです。そこで何らか意味や意義を見出すことができれば、仕事への意欲も湧いてくるのではないでしょうか。(少なくとも、何も考えずにやるよりは)

「振り返り」は、仕事を終えたときに考えます。数ヶ月続くような仕事なら、途中で中間振り返りをするのがおすすめです。「今回うまくいったことは何か?(成功の再現性を考える)」「もう一度同じ仕事をするとしたら、どのように取り組むか?(より良くするための方法を考える)」このような点を考えてみると、自分なりの積み上げ(資産)が少しずつできてくるはずです。

偉そうなことを書いてしまいましたが、私は上記のことを昔から常に意識できていたわけではありません。ものによっては、実践できたのがずっと後だったり、分かっちゃいるけど時間がない、といったところで放置していたこともよくありました。ただ、もっと早く気づいて、実践ができていれば…と思います。本書にあるように「資産」という見方をすればなおさらです。



補足(Ustreamで著者の方に質問してみた件)

著者さんにUstで質問できる時代(感謝)

加藤たけしさん&佐藤茜さん夫妻が運営されているアットカフェTVで、「不安定な時代の、つらい働き方と幸せな働き方。」なる番組がありました(2012/6/24 19:00〜)。ちょうど著者の木暮太一さんが出演されており、上記のつながりで以下の質問してみました。(ご回答いただけて感激でした!)

「資産」や「自己内利益」をつくるにあたって、具体的に意識されていることはありますか?

木暮さんからは、
  • 競争が激しい分野で評価されるのは難しい
  • 敢えて効率を考えないで、人がやらなそうなこともする
  • 緊急でなくて、重要でもない、みんなが見逃している分野にも目を向ける
    (そればかりだと食べていけないけれど)
といったご回答をいただきました。

また、同番組に同じく出演されていた大石哲之さんからも
  • ビジネス書はあまり読まない
  • 直接関係のない分野にもバッファを持っておく
  • そこと仕事が結びつくとデカい=新しい分野の第一人者になれる
といったご回答をいただきました。

実は最近、自分自身の強みについて棚卸をすることが多いのですが、「ウェブ」「ソーシャルメディア」「ディレクション」「マネジメント」等のキーワードで勝負しようとすると、そこは既にレッドオーシャンになっていることが多いのです。

そこでプラス「阿波踊り」(適当に言ってます)というキーワードが組み合わさることによって、途端に独自性が出る=新しい分野をつくれる⇒ブルーオーシャンとなります。某師匠は、このことを「自分の土俵をつくる」と表現されていました。

自分の専門とは違うところへのアンテナや種まき&水やりも大事ですね。

ご参考)本件のUstreamは、以下で録画が見られます。
※私の質問はオフレコタイムにしたため、録画には含まれておりません



その他(資本主義ってぇのはな…他)
以上、今回は私が特に大事だなと思ったところだけにフォーカスしましたが、本書では資本主義の基本的な内容や、「自己内利益」という考え方も紹介されています。このあたりにご興味がある方にも、読んでみることをおすすめします。

年収が増えても、必要以上に経費を増やさない

例えば、こんな見出しがあります。

  • 年収1000万でも、生活に余裕がない?
  • 「収入が増えれば裕福になる」という幻想
  • 給料は「明日も同じように働くために必要な経費のみ」
  • 「使用価値」と「価値」の違い
  • 「もっと上」を目指した結果残るのは、激務
  • 残業代では豊かになれない

最近『僕は君たちに武器をく配りたい』という本(こちらはもっと攻める感じの内容)も読んで、資本主義に関する己の理解の薄さに orz となりました。自分たちが身を置いている資本主義という構造について、どれだけ理解しているでしょうか? 今後、日本はますます資本主義の色が強くなっていくことが予想されますので、最低限の理解はしておきたいものです。



そういうわけで、資本主義を知る上で良い本などあれば、ぜひ教えてください。
まずは『資本論』を読めということかもしれませんが。