LinkedIn日本法人による初セミナーのまとめ(2012年1月16日) | 不問日報-号外

2012年1月17日火曜日

LinkedIn日本法人による初セミナーのまとめ(2012年1月16日)

#2012.1.18画像類を追加しました
六本木のアカデミーヒルズ49で開催されたビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」のセミナーに参加してきましたので、ひとまず簡単にまとめてみました。LinkedInの日本法人としてセミナーをするのは今回が初だったそうです。


オンラインビジネスセミナー
世界最大のビジネス特化型ソーシャルネットワーキングサービス

「LinkedIn」(リンクトイン)の可能性
~そのビジネスモデルと活用法、日本での事業展開を聞く~

2012年01月16日(月) 19:00~21:00



◆LinkedInの立ち位置
FacebookやTwitterとの立ち位置の違いについては、以下のような表現で説明されていました。
  • Facebook:ソーシャルユーティリティ
  • Twitter:公的なコミュニケーション
  • LinkedIn:プロフェッショナルネットワーク
各メディアでコミュニケートするユーザーの主な特徴としては、Facebookは顔を知った身近な仲間が中心で、Twitterは顔も知らない不特定多数、LinkedInは会社の同僚や取引先といった違いがあるでしょうか。


LinkedInの強み
他のメディアとの違いとしては、「実名制」であることが大きな前提としてありますが、この点はFacebookも共通しています。その中でもLinkedInならではの特徴としては以下3つが挙げられていました。
  1. 不正報告の仕組み
  2. 同僚とのつながり
  3. 推薦文
「1.不正報告の仕組み」は、例えばA社の社員ではないユーザーが現職にA社を登録しているような場合、不正のフラグを立てて報告することができる仕組みです。

「2.同僚のつながり」は、A社ならA社の同僚同士がつながることで、そのユーザーがA社の社員であることを証明する強い証拠となる、という特徴です。つながりが多ければ多いほど、信頼性は増しますね。

「3.推薦文」は、読んで字のごとく第三者からの推薦文で、ユーザーのことを知る他者からの情報が掲載されることにより、信頼性が増すというものです。mixiで言うところの「紹介文」を少しフォーマルにした感じですね。


LinkedInの活用シーン(収益の柱)
日本ではまだユーザーが限定的なLinkedInですが、主な活用シーンは3通りです。
  1. 採用 ※日本語未対応
  2. 広告
  3. セルフブランディング(個人利用に有償サービスあり)
採用関連の機能はまだ日本語化されていないそうですが、求人が90ドルで出すことができ、応募者のバックグラウンドや応募状況をトラッキングする仕組みが提供されるそうです。
 
・言語別のプロフィールページ


LinkedInは昨年に日本語版ができ、プロフィールを日本語で作成することができます。ユーザーの言語設定によって表示されるものが変わる仕組みのようで、英語圏のユーザーには英語版のプロフィールを、日本語圏のユーザーには日本語版のプロフィールが表示されます。私は英語版をちょろっとつくったきりになっているので、日本語版を今度つくってみようと思いました。

・紹介リクエスト機能

(モザイク処理が美しくなてすみません)

知り合いたい人がいる場合、間に共通の知り合いがいると、その人に紹介を依頼することができます。LinkedInではネットワークが可視化されているため、◯◯さんと知り合いの人はいない?と探して回る手間がかかりません。

・キャリアサマリー


プロフィールには「キャリアサマリー」が追加できるそうで、「現在の仕事や過去にやってきた仕事、これからやりたいと考えている仕事等を書いて欲しい」とのメッセージがありました。これは自分の将来を設計する上でも有用ですね。思わぬチャンスが舞い込むきっかけになるかもしれません。

・セルフブランディングにおける有償サービスの特徴
個人として使う場合の有償サービスが用意されており、紹介されたのは以下特徴でした。
  • つながりがない相手にメールを送ることができる(無償版ではできない)
  • プロフィールの全文が見られる(無償版では全文までは見られない)
  • 自分のプロフィールを誰が見に来たか?検索ワード等も分かる
最後のものはちょっとしたアクセス解析のようなもので、ユニークだなと思いました。まるで自分ポータルサイトを管理できるかのような感覚です。ユーザーが自分のことをどんなキーワードで探して来たのかを知ることで、自分に求められていることが分かる、というのは面白いですね。


ビジネスオペレーション管理部長キャサリンさんのエピソード
キャサリンさんがLinkedInに入社したのは2010年。入社のきっかけになったのはまさにLinkedInで、自らつくったグループのコミュニケーションを通じてLinkedInにつながったとのこと。自分の専門分野や課題意識を題材にしてグループに参加したり、自らグループをつくったりすることは有用そうですね。


マーケティング担当長谷川さんのエピソード
LinkedIn日本法人のキャサリン・ポーターさん(日本展開を推進する中心的な方のようです)は、同社のマーケティング担当である長谷川さんの採用にあたってLinkedInプロフィールを見て、推薦文を書いている長谷川さんの元上司にコンタクトを取ったそうです。今ではお二人とも仲良しとのことで、長谷川さんからすると不思議なネットワークが生まれたことになります。

採用する側が就職希望者の元上司と話をする、というのは、両者に何らかつながりがないと難しいことだと思います。LinkedInではそれが可能になるのですから面白いですね。同時にちょっと驚きも隠せませんが・・上司は大切に。笑


LinkedIn企業ページ
企業はLinkedIn上にページを開設できます。LinkedInはデータが好きな企業らしく、企業ページでは以下のようなデータが参照できます。
  • 職務
  • 勤務年数
  • 修了学位
  • 出身校
下図が上記を見られるページですが、LinkedInはStanfordご出身の方が多いようです。


面白いのは、前職と転職先の傾向まで見られることです。若手ビジネスマンからすると、キャリアパスを見通すのに便利なのではないか、というお話がありました。つい興味本位で見たくなります。因みにLinkedInの企業ページを見ると下図のようになっています。


LinkedInはYahooやGoogle等から転職してくる方が多いようで、その後はZyngaやStanfordに行く方がいらっしゃるようです。これは特に有償のメンバーでなくても見られる情報です。


LinkedInの企業活用例
これは質疑応答の際、企業が広報やマーケティングにLinkedInを活用する際にどんなことができるか?という質問で得られた回答です。
  1. 情報発信
  2. ポール(アンケート)
  3. イベント機能(日本語版未対応)
  4. 企業ページをフォローしている人の属性把握
  5. 社員の積極的参加
1〜4についてはFacebookページに共通するものがありますね。4はもうちょっと突っ込んだ情報が得られるのかもしれません。

5についてですが、米国では企業が社員にLinkedInのプロフィール作成を積極的にすすめる例があるそうです。企業ページには社員の一覧が出ますので、そこでいきいきと働く社員、優秀な社員がいることをアピールできるから、ということのようです。

企業に就職面接に行ったとき、すれ違う社員の態度や会話から会社の雰囲気を感じとるのと同じような感覚、というたとえ話があり、なるほどと思いました。企業にとっては社員にポジティブな情報を出してもらう必要があるかと思いますが、活用法の一つとしてはありですね。


LinkedInの日本ユーザーについて
 ユーザー数は50万人ほど。業界はITを中心に、ファイナンスやヘルスケアの業種が多い。出身校は東大、早大、慶大が多いのでは、とのこと(あまり明確なデータはなさそうな雰囲気でした)。因みにSocial Bakersで見てみると、日本のユーザー数は526,220人(2012年1月18日確認)と出ていました。

http://www.socialbakers.com/linkedin-statistics

私の周囲の方々はこの手のサービスを早期に試す人が多いですが、それでもまだ一部の人が利用しているレベル、という印象があります。LinkedInは「ユーザー数」を重視しているそうですので、この点は今後に期待したいです。ユーザーとしても、周囲の人がどれだけ使っているか?がサービスを使うかどうかの重要な要因になりますので。


LinkedIn日本法人について
日本法人の社員は2名のみ!最近、人事担当者1名とインターン1名が入り、今は4名とのこと。ちなみに日本語化のプロジェクトには40名が関わっており、日本人エンジニアは10名だそうです。

因みに日本語のTwitterアカウントがあり、定期的に情報が提供されています。LinkedInの日本展開が気になる方はフォローされるとよいと思いますよ。
https://twitter.com/#!/linkedinjapan


LinkedInの思い
これは私の解釈が入ってしまっているかもしれませんが、LinkedInは自らが持つ知識や経験を求めている人とのマッチングを実現する場で、他者への貢献の気持ちを大事にする、ということがあるように思いました(違っていたらすみません)。このマッチングによって、世界の生産性を上げるという大きな考えがあるのではないでしょうか。

たしかに、自身では大したことはないと考えている知識や経験も、それを求める人からすれば貴重なものであるはずです。ただ、知識や経験を提供できる人と、それを必要としている人が出会っていないというだけで。


登壇者のみなさまについて
リンクトインジャパン株式会社 ビジネスオペレーション管理部長 キャサリン・ポーターさん
日本語でプレゼンしていただきました。さすが日本の展開を担う方ですね。年齢に触れるのはどうかと思いつつ、35歳でいらっしゃるとのこと。

リンクトインジャパン株式会社 マーケティング担当 長谷川玲さん
終始笑顔でにこやかにプレゼン&質疑に対応されており、非常に好感が持てる方でした。入社してまだ4ヶ月とのことでしたが、そのような印象は受けませんでした。

モデレーター:ニューズ・ツー・ユー 代表取締役 神原弥奈子さん
ディスカッション時を含め、終始美しい仕切りでした。きっと準備されているのだと思いますが、個人的に聞きたいことはほとんど神原さんが聞いてくださったので嬉しく思いました。


参加者のみなさまについて

http://www.roppongihills.com/spacemedia/space/academy.html

セミナーの定員は120名で、会場がびっしり埋まるという文字通りの「満席」状態でした。どちらかと言うと男性の方が多く、年齢は幅広い印象を受けました。

会場での挙手アンケートによれば、「あ、ほとんどだなぁ」と思うほど大半の方がTwitter、Facebook、LinkedInのアカウントをお持ちでした。中には「LinkedInで転職しました」という方もいらっしゃり、参加者のみなさまはだいぶモチベーションの高い方々だったと思われます。


◆LinkedIn推薦本『LinkedInスタートブック』
松村太郎さんが書かれた本で、1月19日に発売です。
キャサリンさんへのインタビュー記事なども掲載されるそうですよ。

・・というわけで一気にまとめました。

【参考リンク】